◆県外の新幹線の止まる駅で私たちは落ち合う約束をしていた。
ホームの先端にカレは待っていてくれていた。
私は最前車両の一番前のドアから降りてホームの柱に隠れながら
ゆっくりゆっくりそれはそれはゆっくり歩いて彼との久しぶりの再会の瞬間に近づこうとしていた。
カレはホームの一番端から、私はまったく逆の一番端から近づく形になった。
結構長く感じられる道のりを時々柱の影から顔を出して彼の位置を確認しながら歩きたかったが、
一向にカレの姿が見えなかった。
そうしているうちに私はホームの先までたどり着いてしまった。

・・・なわけないじゃん
さっき車内からホームに立つ彼を見たもの。
すっごい胸騒ぎがした。

とりあえずさっき下車したところまでまたホームの反対端まで引き返した。

カレはどこにもいなかった。

10分はホームにいただろうか、さっき確かにこの目で見た彼がどこからか顔を出さないかと思いながら。
私がさっき見たのは彼ではなかったんだろうか。
減速する新幹線の車両からホームにたたずむ自分のカレを見間違うことってあるんだろうか。
私の思い込みから見えたつもりでいたのだろうか。。

そんなことを考えながらしばらくホームで待った。

各駅停車でしか新幹線が止まらないこの駅は
私が降りたときに一緒だったほんのちょっとの客たちを改札までの階段へ誘うとさっきまでのように人っ子一人いない静かな風景に戻った。

カレもこの風景の中にいたはずなのに・・・

はぐれてしまう第一の要素は動くこと

私はいつだって心に留めて生きてきた(笑)
だから会えなくなったときには動かない。
下手に動いたら、、、
こんな待ち合わせだけに初めて利用した土地で動いたら、、、

気がつくと私は階段を降りて500mは歩いてたどり着いた改札とホームを何度も何度もいったりきたりしていた。

カレは構内から出るはずがない、さっき私を出迎えてくれた彼は改札を出るはずがない。

改札を出ずに私はとにかく歩き回った。
駅員にもカレの特徴を尋ねてみたりしてみた。
カレはどこからも現れなかった。。

続きはまたあとで。

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